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前のエントリからの続き

 連載中断と前後して起こったのが、ナギ様の非処女騒動です。

 連載中断直前はこのような筋運びでした。

・ナギに告白するぜとテンションがあがる仁。
・ナギとそっくりの行動をとる謎の男大東の描写。
・ナギの思い人だと大東を突きつけるざんげ。
・大東=ケガレと同化するナギ
・仁は「失恋」してしまう。

 ここで、連載が中断してしまいます(一番良い所で3年半!だったわけですね)。

 まずは、この非処女騒動についてよくある誤解があるので確認しておきます。

1)本人が倒れたのはこの騒動が起こる前で騒動の最中は集中治療中という状況なので、この案件にショックを受けて連載休止といった因果関係は無いという事。読者サイドとしては騒動→連載中断という流れなので紛らわしいですが。

2)非処女騒動の起源をかんなぎだと思われている人もいるのだが、それも誤り。少し調べればわかりますが、原作物を破壊してネットにさらすという行為を含めての非処女騒動というのは前例があります。

 まず問題提起したいのは、この非処女騒動というが作家にとって想定内の出来事だったのか想定外のアクシデントのどちらなのか。というのも、こういった展開である程度の反発がある事はある程度、想定済みだったように見えます。

 5巻の第二七幕では、劇中でこんなやりとりがあります。
kannagi7


 さて。こういうギャグを書く人が、非処女騒動的なものを想定していないとは考えにくいでしょう。盛り上がりの過熱ぶりや、3年半の休載を挟んでしまった事は想定外だとしてもです。「一人で空回っていた仁」も「ナギの思い人発言」にしろこれから先の展開の欠かすことのできなかった伏線と考えるのが自然です。

ある程度のリスクを覚悟してのあえての行動。そこにはかんなぎの描きたい世界・かんなぎのテーマ性が隠れているような気がしています。かんなぎのテーマ性をこの非処女騒動から探ってみたい。というのが当エントリの趣旨となります。



 かんなぎの世界観の中には、多くの人々から愛される存在は人々の力を受けて力を得るというものがあります。その土地にすむ人々の信仰心が「神」という形を取るのだと。そして、現代に顕現したナギやざんげは自分の神力が落ちている事を痛感し、アイドル的な存在となる事で現代風の「信仰心」の獲得を目指します。学園生活やメイド喫茶での活動という言ってみれば「我々の大好物」は彼女たちの神力を復活に位置づけられます。
 ナギとざんげちゃんとのファン得合戦だったり、学校の生徒がナギを応援する事で新しい力が目覚めたりといった描写はこういった文脈のものです。これから描かれるだろう文化祭でのステージもそういった世界観の中に置かれるでしょう。

 さて、連載中断直前のストーリーに戻りましょう。ナギは昔の思い人=大東=ケガレを取り込んでしまいます。
 神がケガレるとはどういう事なのか、神道に関してはあまりに知識が無いのであまり勝手なことを言うのは慎みたいと思います。神産みの神話では、イザナギが黄泉の国から帰還した際の穢れの禊ぎから多くの神々が産まれたとされています(最後に生まれたのが天照大神)。重要な神々がケガレとミソギという関係性の中から産まれてきており、また、ケガレやミソギといった考え方が日本人の精神性や文化の根幹にあるだろうという見立ても十分に可能です。が、こちらの方向とかんなぎを結びつけて論じるには、少し準備が足りません。

 かんなぎでは、神力をアイドル的なファンの力によって充足していたのでした。では、ケガレを「アイドル」的文脈に無理矢理置き換えてしまえばどうなるか。つまりは、ケガレていなかったナギが昔の思い人によってケガレては汚れてしまうという構図になります。
 言うまでもなくそれは非処女騒動と同じです。物語に仕込まれた種が、物語内部と外部で同じように育っていったのです。

 ケガレナギは、ガングロギャル・援助交際的な表象で描かれている所もあります。まさに「ビッチ」としてのナギです。
 新刊の中で、ケガレてしまったナギに対してざんげちゃんが目の中をお星様に輝かせて相対するシーンがあります。私にはネットで過熱していた一部の原理主義者たちとこの目の中がお星様になってしまったざんげちゃんとがぴったりと重なるように見えます。
 ざんげちゃんがナギにどういった行動をとったのかは、各々7巻を手にして確かめてください。私には、彼等がネットでしていたパフォーマンスと同じ結論を、ざんげちゃんは導きだしてしまったようにみえます。

 一つ注意しておいて頂きたいのは、私はネットでの騒動を武梨さんが作中に取り込んだのだと主張しているわけではありません。もし、3年半のブランクがなくとも、祭りがおこらずとも、同様の展開を取った可能性は大きいと考えています。物語に仕込まれた種が、物語内部と外部で同じように育っていったというような認識です。

 かんなぎのストーリーの一つの軸がここまで述べてきたようなアイドル的な神というあり方です。もう一つの軸は、思春期の男の子や女の子の自分探しの物語です。キャラ同士が絶妙に絡み合う「おかず」の部分に目が行きがちですが、メインキャラクターに関しては全て自分探しの成長の過程が描かれています。仁やつぐみや白亜やざんげはそれぞれに悩み、彼らなりの答えを見つけようとしているように見えます。

 そして、ナギも「自分探し」に悩んでいます。その悩みの中にはこれまで述べてきた「アイドルとしての神」という要素が重要な位置を占めています。
 「アイドル」とは民草の欲望の器たる身体性であるといえましょう。「欲望の器たる身体性」とは、ネット時代であったら初音ミクに代表される存在だったかもしれない(これを、「ゴースト(村上祐一)」と言っても良いのかもしれないが、よくわからない)。そして、歴史の中に「欲望の器たる身体性」を見つければ産土神なり土地神だったのかもしれません。

 ナギ自信の問題・悩みとは、「民草の欲望の器たる身体(神・もしくはアイドル)」という軸と「自分探し」という軸の交わる場所で生まれています。下位人格としてのナギと「民草の欲望の器たる身体」とは乖離しています。下位人格としてのナギは、「民草の欲望の器たる身体」としての記憶は持たず、何も知らず仁達と楽しく日常生活を送っていたに過ぎないのです。
 アニメ版ラストは思い出せないことに悩んでいましたが、思い出した事が悪夢でもあったようです(かなり高位の型月厨であらせられる武梨さんがヒロインに幸せな過去を用意するわけがないのですが)。
 自らの欲望とは他者の欲望であるというある種の人間観も存在します。個人的にはこういった「他者の欲望」という問題設定には刺さるところがあります。
 とはいえ、下位人格のナギも多くの記憶を取り戻し「民草の欲望の器たる身体」を不本意ながら受け入れたように思えます。この不本意さは泣きそうに仁を見つめるナギの表情で表現され、仁はそれに奮い立ちます。それが、おまえの本当の気持ちなのかと。

 問題の一つの側面は彼女自身がそれをどう乗り越えるかという点。これのヒントに見えるのは、7巻に所与の扉絵の一つです。この扉絵では、ナギがこの世界で過ごしてきた日常の積み重ねが絵として示されています。Fate/UBWと一部分テーマが重なる所ですが、「偽物が本物に変わる」瞬間が例えばこれから予告されている文化祭のステージや、今後の展開で見られる予感がします。



 そしてもう一つの側面は、そういった存在と仁がどう相対するか、です。仁が特権的な位置を占めるのは「木っ端」からナギを作った制作者であり、幼少時代に「神としてのナギ」とふれあっていたという事実にあります。下位人格のナギとも上位人格のナギとも接点があるのが仁なのですね。そんな仁は「ナギ」に対してどう呼びかけるのか。

 また、メタ的な視線を含めていえば、ケガレてしまった存在はそれでもなお信仰心を集める事ができるのか否かといった問題にも直結するでしょう。劇中でいえば、ナギさまファンクラブの連中はいかに行動するのかも気になる所です。

 またナギは7巻の最後で○○してしまっており、どのように△△するのかという現実的な(?)問題もあります。

 非処女騒動的なるものが物語内部の種が現実世界で発芽したものだという認識を示しました。だとすれば、まずは第一にはその芽は物語の世界の中で落とし前がつけられるべきでしょう。そしてこれは、「民草の欲望の器たる身体」/「自分探し」といったかんなぎの本筋ともいえる答えが示されるのだろうと期待しています。満を持して次巻を待ちましょう。


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にわか臭いブログだなあ
長く書いてるけど誰が読むんだろう?
あと、漫画の中身貼っちゃ駄目だよ犯罪だからね
【2012/06/05 Tue】 URL // 名無し #- [ 編集 ]
亀レス失礼します。
よろしければもう少し具体的に駄目だししていただけると有難いです。
良いもの書きたいですが力不足です。申し訳ありません。
ご意見参考にしたいと思います。
あと、漫画については引用という認識でおります。
【2012/11/27 Tue】 URL // 管理人 #U6mFCCMM [ 編集 ]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
【2013/02/17 Sun】 // # [ 編集 ]

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グッチ バッグ  【2013/10/19 Sat】
民草の欲望の器たる身体と自分探し(かんなぎ 7巻)::クリティカルヒット
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