東浩紀は色々なタイプの本を出しているけれど、動ポモやゲーム的リアリズムよりも、郵便的不安たちのような掌編の寄せ集めが好きだ。一つのテーマをじっくりと取り扱った物よりも、色々なテーマを短く切り取ってみせる。正確さよりも多彩さ、というか。
ということで、『文学環境論集 L』を買ってみました。
1999年に連載された、「存在論的、広告的」という連載で、こういうことを言っていた(p392)。
ネットでは欲しいと思う情報以外は手に入らない。
そこでは、本屋をぶらぶらとして本を見つけるという楽しみが無い。
《世界》は閉じるばかりである。
というような主張がされている。
99年という時代なので突っ込んでもしょうがないのだが、良い意味でこの予測は裏切られた。
本屋のような《非郵便的》な世界は、2ちゃんねる/はてなブックマーク/ニコニコ動画といったサイトで実装されている。
YouTubeとニコニコ動画の違いは、コメントが字幕で入れられるという事以上に、ユーザーの活動の統計情報からランキングを動的に作成するということにあると個人的には思っている。面白いコンテンツが自動的にどんどんど上に上がってくる。で、そういう舞台があるから人も集まってくるという好循環。どうしても、余ってる時間とクリエイティブがある人を考えると、傾向が「若さ」や「アニメ/ゲーム」っぽくなっちゃうのはしょうがないけど。
好みだが、はてなブックマークも特定のキーワードに関して情報を深く調べる、というよりもアルファブックマーカーのような人のブックマークを見てみたり、上位のエントリをだらだらと見て回るのが好きだ。まさに、郵便的な誤配が生じているというか、本屋以上に動的で出会いがある。
一つ言えるのは、たしかに99年のネット状況では確かにネットは《非郵便的》に見えたかもしれない。検索エンジンしかなかった時代。ポータルという言葉があったような無かったような。その状況では、《世界》は自分の語彙の中でしか生まれない。
しかし、本屋的な面白さが欲しいと思えば、それが本質的な面白さであればあるほど、そのアイデアはいずれ実装される。本の雑誌の面白さ、テレビの面白さはネットの中に翻訳されて実装される。もちろん、訛ってはいるだろうけれど、だからこそ新しい体験になる。
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