劇場版第三章『痛覚残留』を見に行って来たついでに、サンクリに行ってきました。『俯瞰風景』をネタにした同人誌がさっそく出ていたのでいくつか買い込む。
3〜4冊買ってきたのだが、いずれも女性の方が描かれていたもの(売り子=作者として)。劇場版『空の境界』であったシーンのちょっと後を描くみたいなものや、バレンタインものだったり(ちなみにこちらは天空すふぃあさんの三千大線世界という本。調べてみたら第三章のパンフレットのマンガを描いているのがこの人だった)。「からのきょうかいの本」を略して「らっきょ本」っていうという事を初めて知った夜。
で、同人誌って同人作家が、ある作品をどのように見たのかという視点が描かれているのだということに改めて気がつかされた。
自分もこのサイトで『俯瞰風景』についてはああだこうだと言ってみたが、思いもよらない見方だった。自分は男子なので、式を恋愛対象として感情移入するか、コクトーを自分の分身として感情移入するかが通常の見方だろうと思われる。で、肝心のコクトーが煮え切らないやつというか、ただ寝ているだけという『俯瞰風景』では、とっかかりが少なくなってしまう。感情移入しずらい。
目から鱗だったのは、式を自分の分身として見てみると、ストレートに空の境界の作品に入っていける。要するに女子視点で見る空の境界というのは、また違った味わいを持っている事に気がつかされたのだった。
自分の内面に男の人格を持っていたり、殺人衝動に狩られていたりするんだけど、同級生の男の子は、そんな私の事を信じてくれる。理由を聞かずに、自分の事を信じてくれる。なんだよ。すごいいい男じゃないか。自分の中に眠っていた乙女心が目を覚ます所だった。
男サイドに感情移入すると、どうしてそこでおまえは式を受け入れるんだという事がわからない。けど、女子視点に立ったら、求めている気もちいい台詞をいってくれている。むしろ、無条件に信頼してくれているという、無意味さが心地よい。
俯瞰風景にしても、自分の寂しさをハーゲンダッツを食べて紛らわせるとか、自分がその男の子を助けに行くとか、難解さは立ち消えてすごくキャッチーな話に見えてくる。
「……あの子は自分が殺人嗜好症のくせに、死というものがいかに大切なものか無意識に感じ取っている。だから浅上藤乃のように無差別な殺人行為はしない。そんな彼女にとってみれば、好き放題やってる藤乃は許せないんだろうね」
「3/痛覚残留」 コクトーと式の話をする橙子 p200
「だいたいあいつは勝手だ!好きかってうちにやってくるかと思えば、オレに教えるのは電話番号だけときた。夏の時だって一ヶ月も寝込みやがって、なんだってそんな事でオレが苛々しなくちゃいけないんだ!」
「5/矛盾螺旋」p300 コクトーを巡る式と巴の会話。
Amazon.co.jp: 空の境界 上 (講談社ノベルス): 本: 奈須 きのこより
男の子サイドにしてみると、 二人のなれ初めの話である、『殺人考察(前)』とか、『矛盾螺旋』とかだと、これがやたらとかわいく見えてくる。キャラクターに感情移入させつつも、物語で語っていくといういつものスタイルになっていく。読んでいると、『DDD』ぽくもあり、『月姫』っぽくもあり、『fate』ぽくもある。
禁を破って、単行本を読み始めてしまったのだが、面白いなあこれは。
自分一人では見られない様な視点をくれた名も知らぬ同人の人には少し感謝。同人誌にはこういう楽しみ方もあるのだなと気付く。
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