戯言と作品レビューや分析のブログとその時の思いつき。

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ばべのれさんが、『けいおん!』のヒット要因を情報環境的な側面から、分析している。

創造力より生成力の時代――ハルヒ2期の前に整理しておきたい、京アニが『けいおん!』を選んだその理由。


氏が注目したのは、ネット上でのコミュニケーションである。2chでの当期アニメのスレ数一位が『けいおん!』で二位が『咲-Saki-』で、その差は約3倍となる。一方、ニコニコ動画ではその差は10倍以上に跳ね上がる。

・2chアニメ板作品別スレでの比較

 『けいおん!』178スレ

 『咲-Saki-』70スレ

・ニコニコ動画での比較

 『けいおん!』約4000件

 『咲-Saki-』約300件

(上記サイトを元に作成)

『けいおん!』はニコニコ動画対応であると、氏は結論づける(削除バイアスがどの程度かかっているのかはわからないが)。参考までに他の数字を挙げておけば、「かんなぎ」が1280件、「MUNTO」が60件、「クラナド」が2000件、「らき☆すた」が23000件程度となる。

その際、使用されるのタームが濱野智史氏の集合的な創造性を生む「生成力」である。で、ニコニコ動画において「生成力」を生むのは、「音楽」であると氏は分析をする。「東方」「アイマス」「ボーカロイド」というニコニコ3大ジャンルには音楽が絡んでいる云々。


以上、要約。これをネタにいろいろと考えてみたい。
(続く)
コミュニケーションを誘発する力という風に「生成力」を解釈すれば、2chのスレを伸ばしていくのも「生成力」の由縁である。ただし、コミュニケーションのベクトルが全く異なっている。

上のデータを見れば、『けいおん!』がニコニコ動画へのベクトルを持っている事は確かなようだ。その原因は、「音楽」に限らないのではないか。氏も指摘する、カスタネット動画が人気を博しているという事がそもそも当てはまらない。

東浩紀が、データベース消費という事を言っている。最近まで、あまりよく理解していなかったのだが、最近では上記のようなインターネット対応のメディア論として考えればいいんじゃないかという気がしている。

で、ニコニコ動画にデータベース消費という補助線を引いてみる。

流通する為の最小単位にコンテンツを切り刻めるか否かが、データベース消費の正否をわける。「データベース」への登録可能性が無ければ、そもそも始まらない。『けいおん!』はニコニコ動画を流通する単位に切り刻む事が可能だった故に、ニコニコ動画対応だった。

ストーリーではなくキャラクターの重視、もしくはキャラクターの自律性の高さ。または、いわゆる一つの萌え要素への還元が可能であったことなど云々、『けいおん!』のニコニコ対応の由縁ではなかろうか。

* * *

当ブログを見ていただいたらわかるように筆者は『かんなぎ』が大好きであるが、あまりニコニコ動画では振るった数字を挙げられてはいない。個人的には、『かんなぎ』のMADムービーはカラオケ回まで待たなければならなかったという感覚がある。

『かんなぎ』の面白さはコンテキスト・文脈の面白さである(たとえば、たまごやきとおひたしであるとか)。当然ながら、文脈から切り離す事が困難である。そして、カラオケ回においては「データベース」への登録可能性が生じて、MAD化した。すなわち、ナギをトレースして東方キャラにするといった類の遊びが多数生まれる土壌になった。

一方、『けいおん!』は流通可能性が高い。これは、「ドラマ」という観点からみれば食い足りなさを生むところである。彼女たちを好きになれなければ(萌えられなければ)、ほとんどどうしようもない。 個人的には、どこにでもいるアニメの女子高生という感じがするので、あまりテンションが上がらない。

以上の事から、『けいおん!』と『かんなぎ』には、「データベース消費」と「物語消費」という対比を、ベタな形ではないにせよ適用可能な気もする。それは、また「ギミック」ではなく「ドラマ」という山本寛の言葉を、「データベース消費」から「物語消費」への回帰と読めないだろうか。

とはいえ、以下のことは指摘しておかなければならない。 アニメータの赤堀重雄氏は『けいおん!』を萌えアニメではなく、青春学園コメディとして評価しているし(「ドラマ」としての評価)、また、『けいおん!』の高い作画力についても「諦めたくなる絵の2枚も3枚も先の絵が描かれている」と絶賛されている。

データベースへの登録可能性は必要条件だが(DB消費→登録可能性)、コンテンツとしての力が十分条件(コンテンツ力→DB消費)であるといえようか。

さらに、現実充足型アニメというトレンド というエントリで考察を加えている(追記、09.5.31)。

二元論で、明確な区別をしていく事にはあまり意味が無い。オリコンで1位だとか2位だとか、ヤマハが便乗しているだとか、楽器が売れているだとか、楽器屋が便乗していたり、『けいおん!』ヒットの要因に少しでも迫られたらと思う次第である。

追記。
■「データベース」=ネットメディアの特性。と考えた時、『けいおん!』がとりわけブレークしているのだとすれば(ここら辺よくわからんが)、こういうアニメ関連を消費する中心世代がネット世代に降りてきたということなのかもしれない。

■ニコニコ動画での盛り上がりが即商業的な成功を意味するわけではない。

■データベース消費の面白さは、その「データベース」の開放性にあるんじゃないか。だとすれば、「データベース」の閉塞には注意をしなければならない。

追記 09.8.3
■物語消費というタームですが、大塚さんのタームとしてではなく、
ベタに物語を消費するという程度の意味で使っています。
誰かに指摘されたわけでもないのですが、気になったので追記しておきます。

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カテゴリ:メディア/マーケティング
タグ: けいおん!
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けいおん!がいいのは「ちゃんとお金を生んでいる」って点ですよね。
原作、CD、周辺グッツ、そして音楽業界への貢献・・・など。
DVD/BDはまだ発売されてないけど、まぁヒットとなるでしょう。

ここら辺が騒がれるだけで金を生まなかったスクールデイズやTTと違って『結果』を出して凄いですよね
【2009/05/25 Mon】 URL // 通りすがり #- [ 編集 ]
Re: タイトルなし
たしかに、
ニコ動やyoutubeだけで消費されてしまう作品と、
パッションが涌いてくる作品ってありますね。
【2009/05/26 Tue】 URL // 中の人 #- [ 編集 ]

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