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 『けいおん!』や『らき☆すた』に代表される、「淡々と」女子高校生の日常を描く作品が人気を集めている。と、同時にこういった日常モノの何が面白いのかわからない人も増えている気がする。

 山本寛氏が「妄想ノオト 出張版 第六回」で書いている、満たされない欲望を満たすアニメ(仮想充実型)から、満たされている現実の裏付けや保証たるアニメ(現実充足型)へと、トレンドが移っているのではないか、という仮説を紹介する。

 表面上は女性キャラクターが沢山登場するハーレムもののような世界が展開されているが、その内実では、方向性は全く異なっているかもしれない。見た目が似ているからこそ、起こる論争もあるだろう(例えば、とらドラ!はリア充向けアニメ?だったり)。

 また、先日書いた「『 けいおん!』ヒットの原動力とは何か」の補足を、 仮想充実型/現実充実型という区別を用いて書いてみたい。

というエントリであります。

(続く)
 『オトナアニメ vol.12』の「妄想ノオト 出張版 第六回」の中で高校の漫画サークルを取材したところ、彼らには「飢餓感」が無かったそうだ。世界へのルサンチマンやコンプレックスからフィクションに耽溺する、そこからの「飢餓感」。

 具体的には、独特のモラトリアム、自意識の肥大化、世界(セカイ)への恐怖や憎悪。といった事を感じないという。彼らは、コンプレックスやルサンチマンを抱えることがない。「彼らは普通にオタク文化を満喫し、一方で普通の友達とも付き合い、閉塞したコミュニティに閉じこもることもなく普通の日常生活を送り、(中略)彼らの半数近くに「恋人がいる」のだ。」

 ネットスラングを使って、図式的に整理すれば、かつての世代は非リア充、今のティーンのオタク達はリア充というわけだ(リア充→リアル・充実。勿論、完全に割り切れるものではない。ここら辺は追記を参照)。ここでは、意外にもリア充としてのオタクが描写されているのである。リア充としてのオタクを前にすれば、リア充/非モテといった区別は意味を失ってしまう。

 この説が、腑に落ちるのは、昨今の女子の日常を淡々と描く作風のアニメが量産されており、それなりに支持されているという事実だ。

今の、そしてこれからのアニメーションシーンを彩るのは、オタクの「満たされない」日常を架空の世界で「満たして」くれる、つまり文字通り「仮想充足」型のアニメよりもむしろ、元から「満たされている」オタクの日常をフィクションで裏付ける、あるいは保証し安心させる、「現実充足」型のためのアニメではなかろうか、という仮説である。
「妄想ノオト 出張版 第六回」『オトナアニメ vol.12』


 山本寛氏は『とらドラ!』『らき☆すた』を現実充足型のアニメだとしている。仮想充足型としては、作品名を挙げてはいないが保守本流ともいえる『ヤマト』『ガンダム』『エヴァンゲリオン』などが、思い浮かぶ。

 もちろん、部活や日常を描けばそれで現実充足型とする事はできないだろう。日常を描きながらも、『ああっ女神さまっ』のような仮想充足型の世界観を構築する事は可能だ。それこそ、「淡々と」日常を描くという所がポイントだろう。


 「日常」と「非日常」を反復する『マクロスシリーズ』『灼眼のシャナ』や『フルメタル・パニック』や『fate stay/night』といった作品群は、どちらに軸足を置いて解釈するかによって別の側面を見せるだろう。「日常」の為の「非日常」か、「非日常」の為の「日常」か。

 『ゼロ年代の想像力』では、古い想像力/新しい想像力という区別が採用されてている。現実充足型アニメが宇野氏のいう所の新しい想像力なのかの判断は難しいが、仮想充足型アニメと古い想像力はほとんど同じものを指し示しているように思える。

* * *

 さて、ここで仮想充足型/現実充足型という言葉を使って、『けいおん!』をとりまく状況を分析してみよう。現実充足型の視聴者にはすこぶる受けが良い『けいおん!』だが、仮想充足型の視聴者にはすこぶる評判が悪い。

 また、ハーレムものの亜種として『けいおん!』は解釈される事が多い、これは仮想充足型として『けいおん!』を見ているのである。ハーレムものとして、批判をするという行為は一面では痛いところをつけるかもしれないが、現実充足型としてアニメを楽しんでいる人たちにはそもそも届きようがない。

 このような根本分裂は、今後も色々な対立をネット上にばらまいていく事だろう。山本寛氏が指摘するように、『とらドラ!』が、リア充の為のアニメというレッテルを貼られたように(→はてブ:とらドラ!はリア充向けアニメ?だと思います とらドラ!はリア充向けアニメ?)。

 当ブログでも、「けいおん!の成功の要因」というエントリで、『けいおん!』のニコニコ動画対応という側面から語った事がある。記号への分割可能性、文脈非依存性がニコニコ対応の条件だと書いた。

データベースへの登録可能性は必要条件だが(DB消費→登録可能性)、コンテンツとしての力が十分条件(コンテンツ力→DB消費)であるといえようか。
『けいおん!』ヒットの原動力とは何か



 現実充足型という視点は、『けいおん!』のような、日常系/部活系のコンテンツ力の源泉について示唆を与えてくれるように思う。

 先のエントリでは、『咲』と『けいおん!』の比較を紹介した。『咲』は2ちゃんねるに強い傾向があるが、『ニコニコ』ではふるわない。これは、2ちゃんねるの方がニコニコよりも年齢層が高く、現実充足思考よりも、仮想充足思考が高いからかもしれない。等といった仮説はどうか。


追記1。
 山本寛は世代に還元してしまっているが、簡単には言い切れないだろう。アニメが好きな人たちは昔からいるし、人生を狂わせるぐらいアニメにはまってしまう人も今もいる。

 しかし、世代の移り変わり、ではなく時代の移り変わりは確かにあるのかもしれない。ジブリ以外のアニメを見たこともないようなすかした兄ちゃんが、「アニメは日本が世界に誇る文化」とテンプレートを語ってしまうような。

 そして、深夜帯とはいえテレビという「マス」メディアの力を舐めてはいけない。私の知り合いにも、スノボが趣味だというやつがいるのだが、「こなた面白いですよね」と語っていたが、今までの時代ならばアニメを見なかっただろう人たちとアニメ、いう回路が繋がりやすくなっているのかもしれない。

 と、ここまで書いてきて、その時代の影響を一番受けるのが若者なのだとすれば、最近の世代は昔の世代に比べて、ルサンチマンは薄いんだ。といってもいいような気がしてきた。が、どちらにせよ、細かい話である。

追記2。
 このエントリでは、山本寛氏の元の文章にあった、現実充足型の人たちがアニメ制作スタッフにも多くみられる点であるとか、そういった態度がアニメの固有性を失わせてしまうのではないかといった論点は省いた。

オトナアニメ Vol.12 (洋泉社MOOK)
4862484069


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カテゴリ:エッセイ
タグ: アニメ けいおん!
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