ご無沙汰しております。
前にエントリを書いたのが1月以上前の6月20日、ハルヒ、エンドレスエイトについてでありました。
なんということでしょう。
いまだに、涼宮ハルヒの憂鬱はエンドレスエイトを放送中です。
以下には当然のごとくエンドレスエイトや涼宮ハルヒの消失へのネタバレを含みます。
評判は概ね不評といっていい。エンドレスエイトが収録予定のDVDのカスタマーレビューなどがわかりやすい。まあ、今回のような正面から冷水をぶっかけるようなスタイルは決して受けがいいものではないだろう。
旧作の総合演出であるものの今作にはまったく関わっていない山本寛のゲリラ的な発言がある種の賞賛をもって受け入れられたという事からもネット上のに流れる空気はわかる。
京アニに電凸をしたり、買い集めたグッズを破壊するファンが現れる始末だ。平均からは外れたイってしまった行動だし、パフォーマンスに過ぎないと切り捨てることもできる。だが、グッズをめちゃくちゃにするという行動を見ていて胸を切り裂かれるような思いがするのも事実である。そのグッズを買い集めた過去の気持ちは真実だろうから、ハルヒを好きな一人として心が痛む。
もちろん、このループ構造に積極的に意味を見いだしていこうという指摘も面白い。
『ひぐらしのなく頃に』などのループ構造とは根本的に違うと指摘したエンドレスエイトにおけるループ描写の特異性 - BLUE ON BLUE(XPD SIDE)、長門の時間性と視聴者の時間性を重ね合わせる演出がハルヒというキャラに象徴されるアニメという終わらない祭りに対する批評性を持つという指摘、また「記号的なキャラクターを実在物のように見立てる」というトレンドを指摘したモノとしての記号 - 仮想算術の世界などが挙げられる(後述する予定だが、これは長門と共に過ごした3年間などで指摘した所と重なるように思える)。また、映像表現というレベルで記述した涼宮ハルヒの憂鬱 見えてきたエンドレスエイトの同期演出 - subculicも面白い。
確かに、長門の後ろ姿の切なさは筆舌に尽くしがたいものがあった。しかも、結果を後追いするわけではなくリアルタイムで見たときのキョンに対するがっかり感といったらない。そういった意味では、実験的かつ野心的な試みが成功しているともいえる。とはいえ、ずっとハルヒを好きだったコアなファンを裏切ったという事は否定できない。
以上でエンドレスエイトを取り巻く状況をゆるゆるとまとめてみた。
さて、京アニはどうケリをつけるのか。考察してみた。
以下、言うまでもなく、消失へのネタバレを含みます。
エンドレスエイト収録予定、二期の二巻目の発表日が決まった。amazonにはこのような記述がある。
『さらに第2巻限定版特典として、
○描き下ろし特製DVD-BOX(全4巻収容)』
この全4巻収録はのDVD-BOXはおそらく、エンドレスエイト全話収納可能なものだろう。という事で、来週での全8話集結が、にわかに現実味を帯びてきた。
となると気になるのは、次に始まるのは何か。
商品の展開が始まるのが8月である(止マレ!が8.26 笹の葉が8.28)し、
打てるかどうかはさておいて、ここら辺で逆転打を打つつもりなのだろう。
当初予測通り、時系列順に「涼宮ハルヒの溜息」にはじまる文化祭編が放送されるのだろうか?
それはあり得ない。
赤っ恥承知の上で、次にくるのは「涼宮ハルヒの消失 I」以外にはあり得ないと断言してみる。
2009.8.14>私の予測は外れ、溜息が放送されました。以下は、一種のifストーリーとしてお読みくださいませ。すんません。
http://nipponia.blog44.fc2.com/blog-entry-192.html(本文に続く)
* * *
エンドレスエイトが象徴的だが、今回の新アニメーションは長門有希の物語として構成されている。笹の葉ラプソディの時長門と共に過ごした3年間で書いたけれど、1話からの再構築にも長門有希の影を見ることができる。
だとすれば、ここで物語的に長門有希を後退させるとは思えない。長門有希が主役である「涼宮ハルヒの消失」を映像化するのが筋だろう。
moonphase氏の所にきたタレコミによると、エンドレスエイト以降のDVDのタイトルはすべて5.142857のように5.Xという形で循環小数になっている(法則はこちらダイアル数というらしい)。これを発表前に指摘したことで俄然信憑性が増してきたタレコミとなっている。
ここからは、DVD憂鬱6=ライブアライブ以降の時系列に行かない。という事が読み取れる。
原作の「涼宮ハルヒの消失」は、12月18日を区切りにして起こる。これはライブアライブより先の出来事だ(「涼宮ハルヒの憂鬱」時系列 )。これをもって消失の映像化を絶望視する声も多い。
しかし、新アニメーション化では原作の時系列は大幅に改編され、エンドレスエイトの次のエピソードとして作成されると予測する。そもそも、既に原作でループを抜ける15498回は既に超過しているわけで、この段階で原作準拠とは言い難い状況である。
これによって「涼宮ハルヒの消失」を中心とする長門有希の物語を5.xの中に閉じ込める事で、「エンドレスエイト」~「消失」を外伝的な立ち位置に置くことができる。
また、DVD1~7という涼宮ハルヒを中心としたストーリーと、DVD5.xでの長門有希を中心としたストーリーを両立させる事もできる。複数のヒロインの物語を矛盾無く成立させる、このまとまりの良さも、時系列改変の根拠となっている。
ちなみに、DVD 5.xに長門編≒新アニメーション版を閉じ込める事で、ライブアライブ・朝比奈ミクルの冒険・サムデイインザレインといった一期における山本寛演出作品がすべてハルヒ中心の物語(一期=DVD1~7)の世界へと押し込められる事にもなる。
また、時系列の改変ついでに終わらない八月の最後にキョンが○○をするという原作「エンドレスエイト」の解決編は提示されない可能性もある。
8回目のループはいつものように終わり、落胆をもって迎えられ、
9回目に、キョンは何事もなかったかのように9月1日をむかえ、登校し○○の姿を目撃する。
こちらの方が、原作「エンドレスエイト」の短編だから許されるとってつけたオチよりは刺激的かつ有効な気がする。
2009.8.14>時系列変更はありませんでした。
* * *
「涼宮ハルヒの消失」とは涼宮ハルヒという物語世界の否定、そして再肯定の物語である。
ここまで積み上げてきた伏線を回収するには、「消失」しかあり得ない。「伏線」という言葉は一般的には物語内部を対象として使われるが、ここではエンドレスエイト騒動などのコミュニケーションのレベルにまでおよぶ状況も伏線として捉えている。
例えば、エンドレスエイトの無意味なループとそれによる視聴者の疲弊、ハルヒという世界への不満が渦巻く状況等も、コミュニケーションレベルでの伏線の一つである。
制作者/製作者がハルヒファンの反感を買うという事態を想像できていなかったとは考えにくい。だとすれば、「あえて」の意図があるのではないか。エンドレスエイトとは、「あえて」ループをしており、「あえて」フラストレーションを抱え込ませている。
冒頭に紹介したハルヒグッズを破壊する人たちと、涼宮ハルヒという物語世界の否定と再構築を行った長門有希とどこか重ならないだろうか。
これからは伏線の回収、つまりは長門の救済(物語レベル)と視聴者の救済(コミュニケーションレベル)を「涼宮ハルヒの消失」において行おうとする試みが行われるのではないか。
エンドレスエイトを愚直にループすることによって得られた視聴者のハルヒ世界への嫌悪感をベースとして、製作陣は涼宮ハルヒの世界観を壊していくだろう(来るべき、「涼宮ハルヒの消失I」)。
「ハルヒなんてもうどうでもよくなった。」この感情がユーザーにあるとき、視聴者のフラストレーションは長門のフラストレーションという形で結実して、消失編はもっとも効果的に演出できる。
皮肉にも、エンドレスエイトで自分たちの欲望に全く反した映像ばかりを見せられてきた視聴者は、来たるべき「涼宮ハルヒの消失 I」でようやく自分たちの欲望に沿った映像を見せられる事になる。
しかし、それは冒頭に挙げた、破壊されるフィギュアを見た時の痛みと同じく、引き裂かれる思いに満ちたものになるだろう。
当然、物語はそこでは終わらない。
「涼宮ハルヒの消失」の最後では、「涼宮ハルヒの憂鬱」という物語・世界を再び選び取る。これが、伏線の回収だ。
以上に書いたように、
物語的なレベルにおいてもコミュニケーションのレベルにおいても、
エンドレスエイトの解決編は、涼宮ハルヒの消失として与えられる。
つまり、消失の最終回。が今回の新アニメーションの最終回となる。
前にこのブログで紹介した予測はエンドレスエイトまでは当たって、それ以降は外れた事になる。
ということで、勝手に改訂版。
04/02 第01話 涼宮ハルヒの憂鬱1
04/09 第02話 涼宮ハルヒの憂鬱2
04/16 第03話 涼宮ハルヒの憂鬱3
04/23 第04話 涼宮ハルヒの憂鬱4
04/30 第05話 涼宮ハルヒの憂鬱5
05/07 第06話 涼宮ハルヒの憂鬱6
05/14 第07話 涼宮ハルヒの退屈
05/21 第08話 笹の葉ラプソディ → 新作
05/28 第09話 ミステリックサイン
06/04 第10話 孤島症候群(前編)
06/11 第11話 孤島症候群(後編)
06/18 第12話 エンドレスエイト → 新作
06/25 第13話 エンドレスエイト → 新作
07/02 第14話 エンドレスエイト → 新作
07/09 第15話 エンドレスエイト → 新作
07/16 第16話 エンドレスエイト → 新作
07/23 第17話 エンドレスエイト → 新作
07/30 第18話 エンドレスエイト → 新作
08/07 第19話 エンドレスエイト → 新作 ←今ココ
08/14 第20話 涼宮ハルヒの消失 I → 新作
08/21 第21話 涼宮ハルヒの消失 II → 新作
08/28 第22話 涼宮ハルヒの消失 III → 新作
09/03 第23話 涼宮ハルヒの消失 IV → 新作
09/10 第24話 涼宮ハルヒの消失 V → 新作
……という夢を見たのさ。
以上は予測であり願望であり、全く外れているという可能性もあると付け足して、終わります。
涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)
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