戯言と作品レビューや分析のブログとその時の思いつき。

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メディア芸術祭のシンポジウムを聞きながら、Twitterにまとめていたのですがちょっと回線が悪く書き込めない状態が続いたので、ここにまとめてみます。
録画していたものを聞いて補足してあります。
ustの記録があるのであまり意味がないのですが、面白かったのでついやってしまいました。無構成バージョンです。そのうち構成したものを書くかもしれません。
UST その1 その2 その3


[アニメーション部門受賞者シンポジウム②]
2月13日(日)16:00~17:30
出 演 : 湯浅 政明(大賞『四畳半神話大系』)
原 恵一(優秀賞『カラフル』)
片渕 須直(優秀賞『マイマイ新子と千年の魔法』)
氷川 竜介(アニメーション部門審査委員/アニメ評論家)

■受賞について
氷川 受賞おめでとうございます。作品の成り立ちを掘り下げていけたらと思います。賞の概要としては、メディア芸術祭全体としては2645本の応募があり、アニメーション部門は外国作品を含めて425本の応募がありました。前年比89.9%で若干の減少ですが、劇場に限ると141.2%とかなりの増加をしています。海外からの応募が、フランスから56本と主に短編部門ですが増えております。審査は激論になりました。四畳半神話体系がテレビアニメであること、テレビアニメで前衛的先進的な表現をしたという事で大賞になりました。

片渕 マイマイ新子と先年の魔法という映画をちょっと前につくりました。芥川賞作家の高樹のぶ子さんの記憶から再構成したみたいな小説、昭和30年の山口県防府市国衙という我々からすると異世界を舞台にしている。国衙は周防国の都があった場所。原作にも新子のおじいさんが、千年の昔には都があったけれど麦畑になったというセリフがあります。僕らとしては原作には書かれていない千年前に何があったという所まで最構成した。青々とした麦畑に千年前に何があったのかを想像する女の子の話なんですね。
 氷川さんが今年は劇場の応募数が多かったという話をされましたが、さかのぼって2006年は日本のTVアニメがピークだった年なんですね。最近は減っていて、日本のアニメーションは下り坂と言われている。実はその頃から、僕らは力を劇場用に注ぐべきなんじゃないかと転換した。その時にマニアックなものではなく一般的な観客に語りかけられないか。ターゲットを含めて転換しようとしていたわけです。それは、僕らがたまたまやったわけではなく原さんのカラフルにも2009年から2010年までに公開されたアニメーションにはそういった傾向が多かったように思います。
 日本のアニメーションが広がりつつあるということが一般の観客の人に認知してもらうのが難しいという状況があって、マイマイ新子もここまでくるのに苦労しています。上映を始めたと所からお客さんが来ない、と。観客の中からクチコミも起こったのも事実ですし、それに頼った所もあり、そういったものと合体するように作品の紹介をずっと長いこと続けてきたわけなんです。その結果なんとなく最近世の中に認知してもらうことができた気がします

氷川 今回の受賞はどうですか?

片渕 2009年の11月とか12月の段階では、お客さんがこれだけ来ていないのかという状況で、4人いたらラッキーだという上映館もあったものですから、率直にうれしいわけです。そこに辿りつけたのは、作った僕らや配給しようとした会社のエネルギーだけではないところから支えていただいてここにこれました。大変感謝しています。僕の名前で受賞していることになっていますが、応援してくださったみなさんが、受賞したような形だと思っています。

氷川 原恵一さんのカラフルですが、これは森絵都さんの小説を原作にされています

これは僕の企画ではなく、サンライズの今社長になっている内田さんから話がありました。全く面識なかったですが、シンエイ動画に連絡があって、待ち合わせ場所にいったらカラフルを見せられて長編にアニメーションにしてくれないかといきなりズバリ言われて。僕はサンライズの人が会いたいってことはメカ的なものがやってくるだろうと想像してそれは無理だろうと思って断ろうと思っていた(笑)。そしたら文字ばっかりの本をみせられた。
 内田さんは僕がシンエイの社員だということを知らなかった。サンライズは社員の演出の方がいないので。シンエイとうちでやってもおれは構わないみたいな事をいきなりいってこの人はなんだろうとビックリして、読んでみたら自分に向いている題材だと思った。その頃は、2003年くらいで河童のクゥと夏休みをやるかやらないかという時期で、待ってくれといったらあっさり待ってくれた。

氷川 五年以上ですね。

 そのうち内田さんとは飲み友達になっちゃって、河童が終わって、カラフルやろうかと言われてあぁこの人と仕事をするんだなあと思って。それまでは飲む楽しい人だったんだけど仕事では大変なのかなと思っていたら、仕事も見守ってくれて、特にストレスを感じることなくだらだらと時間をかけて作っちゃいましたね。
 アニメーションではハードルが高い、援助交際とか自殺とかいうこともそのまま描こうと思った。派手な場面がなくてつくりながら不安でした。

氷川 アニメ的な戦闘とかそういうのがないとか?

 そこら辺は決めてたんですけどね。アニメが得意なものを武器にしなかったらどうなるか、っていう。それは守れたかなというきがしています。ただ、自信はなかったです。

氷川 受賞はいかがですか?

 興行的にも、受賞的にも、全く誰にも興味をもっていただけなくても不思議じゃなかったので、こういう賞まで頂けて良かったと、思っています。

氷川 次は四畳半神話体系で大賞を受賞された湯浅さん。

湯浅 前に劇場をやった時に、演出の経験が少なかったのでTVシリーズで経験をつみたいと思い、これが三本目になります。企画がアスミックエースとフジテレビから企画が持ち込まれました。

氷川 ノイタミナの枠ですよね。

湯浅 小説の表紙のスライドを見せてもらっていいですか。森見登美彦さんって京都を舞台にして大学生の頃から小説を書いておられた。太陽の塔、四畳半神話体系、夜は短し歩けよ乙女とあって、泥臭いのからだんだんとポップになっている印象がある。夜は短しで表紙を担当されている中村さんが世界をポップにするイラストを描かれて。その一つ前の、四畳半神話大系をこのポップなイメージでやるという企画だった。草食系男子とかそんな戦略的なことをきいて。普通の大学生が成功するイメージを求めていて、何回も世界をやり直すという話なんですけど。
 シリーズ構成の上田さんと、小説にある4つの話を11本にばらしてやっていくという形にしました。アレが入るね、コレが入るねとやっていった。サークルも9つにわけてやった感じになります。
 中村さんは絵には背景も描かれていてそれが黒白はっきりした版画っぽい絵なんですね。京都の絵をシンプルにするにはどうすればいいのかと考えて、中村さんの絵にあった版画っぽさを使えばいいのかと。自然と古い町並みを版画っぽいタッチでとなっていた。
 シンプルな中にワンポイントで千代紙の柄をいれていこうという感じで、イメージボードを描いた美術の河野さんがいろいろ試してくれたら違和感がなかった。地面に柄を貼ったりしても違和感がないなと。林に柄をいれてみたり。
 シンプルにするには考えていたので。緻密にかかないですむにはどうすればいいのか。シルエットにして落とすという事と、柄をいれてあるかのような感じにできるんじゃないかと。

氷川 緻密をやめるというのは、テレビというメディアがあるんですかね。

湯浅 語り口が面白い小説で、アニメにするのは難しいなと思っていたのですが、小説にあるモノローグを多用していくような形でつくりました。

氷川 語り口が印象的という講評もありました。受賞はどうですか?

湯浅 テレビであることもよかったんだなと。

■テレビアニメーションの過酷さ
氷川 TVアニメ元気だそうよということも含めての受賞だったと思います。テレビは大変だったんですか?

湯浅 年取るとやりたくないなあと思うんで今やっておこうかなという感じですね。

氷川 11本だから乗り切れたかんじですか?

湯浅 長いのもやってみたいですけどね。クレヨンしんちゃんみたいな2~3年やるってどういうスタンスなのか経験してみたい感じはあるんですが。

氷川 原さんはどうですか?

 僕はできることなら映画をやっていきたいですけどね。やらせてくれる機会や人がないといできないですが。僕も湯浅さんがいったTVアニメのわずらわしさはそれなりに経験しているんで。どうしても各話を演出家に任せるというのが中心になっていくので、それをどうやって監督として一本にまとめていくのかってすごいわずらわしいじゃないですか。ねぇ?

湯浅 あ、はい。そうですね。能力のあるスタッフほどそうですね。

 僕は、湯浅さんみたいにアニメータ出身じゃないのでアニメータのように絵が描けないんですよ。となるとどこかお任せしちゃうんですけどね。

氷川 片渕さんも、マイマイ新子と前後してブラックラグーンというTVシリーズをされていますが?

片渕 2006年というTVアニメーションの放映ピーク時に、ブラックラグーンをまさにやっていたんですね。その前に一回だけテレビをやったこともあるんですが、結構、肉体的にきついわけですよ。始まる前に、マッドハウスのプロデューサーの丸山さんとロケハンに行ったとき、香港で晩飯を食いながら、劇場をやらせてくださいって直訴して。で、マイマイ新子という話がきて。
 ノイタミナのフジテレビのプロデューサーの山本浩二さんがTwitterで「TVシリーズの監督はなんで頭が狂わないんだろう」っておっしゃるんですよ。局のプロデューサーがしみじみとおっしゃるっていうのは、現場としてはすごいため息なわけなんですよ。
 僕個人としては11本でももたないよって感じがあるんですね。劇場だったらアフレコ一回ですむんですけど、テレビだと毎週あって、アフレコに備えてセリフの尺にあわせたカッティングを毎週一回やって、これが完徹じゃすまないって時に冷静な判断ってどこにあるんだろうって思い始める。若ければまだ体力があるんだけど。湯浅さんは、それに挑戦されているのですごいなって思って。

湯浅 テレビの良い所もあるんですよね。劇場はね、キリがない。どこまでも作りこめてしまう。テレビは放送日までにつくらなきゃいけないので。一人ではできないというのは決まってるんですね。
 僕はどちらかというとメジャーな方向性ではない。同じような気持ちを持っている人たちはいっぱいいて、一緒にやれるし、仕事も与えられるし。
 たくさん経験してスキルもあがる。テレビなんで失敗してもいいだろうって思ったりして。だいたいおもしろければいいだろうって。そんなに完璧でなくてもいいだろうって、勉強したい気持ちもある。」

【回線中断】

(原作がアニメっぽくない所からとられているという話題)

サンライズの内田さんは、ガンダムとかでアニメーションを見るのが好きな人に向けた作品をつくる場所で働いていたけど、森さんの原作はずっと好きだったみたいです。アニメ好きじゃないティーンに向けてつくるものをいつかやりたいという話は聞いた。

氷川 アニメファンから外へひろげていこうと。

湯浅 それはすごく考えていることだと思いますね。どんどん世界が狭くなっているというか。ファンのための作品を作り続けているとマーケットも狭くなるし、商売としても成り立たなくなってきている。アニメってだけで毛嫌いする人もいるくらい。そういうかたでも楽しめる作品をつくっていかないと次のアニメーションは難しいんじゃないかな。

片渕 うちのマイマイ新子なんてね極端な例だけど、実際に提示してみたけど、どうやって受容されてるのかはっきりと結果がでないと次のものをつくらせてもらえにくいという状況がでてきている。2006年とか2004年にプロデュース側が考えていた、日本のアニメーションは上り坂だからこう変われば良いということの結果が2009年、2010年に出てきている。これがどういうふうに受容されてるかの結果によって、今から3年後に出てくるかもしれない。ひょっとしたら今花盛りになっている劇場アニメーションだって【回線中断】

■実際の景色を取材することの意味
(ロケハンの話)

片渕 僕がロケハンにいったのは、シナリオハンティングに近い。僕らはアニメーションは現実的なものとファンタジーの境界にあるバランス的なものであるべきだと思っている。非現実的な要素をとりこみたい。どうすれば取り込めるのか。考えるときに現地にあるものを利用できないだろうかというのが大きかった。何をしたらいいかわからない状態でロケハンにいって、現場でファンタジー要素をさがした。
 山の形が面白いっていって写真にとって使ったりはしてますけど、その頃はそっくりの山口県防府市をつくろうという意識はなかったかもしれないですね。

氷川 素材というよりは、雰囲気なり材料というか?

片渕 ストーリーは70%くらい考えてあるんだけど、実際行ったら偶然に1000年前清少納言が主人公の新子と同い年くらいの時に来ていて、ロケハンしている目の前で住んでいた館が発掘されている所だったんですよ。地面にいっぱい穴が開いているのをパチンコ屋の駐車場の屋上から撮影して。これは寝殿造りぽいね、ってそこから話が広がるんじゃないかって、そういうのをみつけたのが成果だった。
 みつけたら、あとはいかに昭和30年代という現実と1000年前という非現実的な要素をどう説得的に描くか。実際にある風景をドキュメンタリー的に使ってしまうのもありかなと思ったり。

氷川 原さんのカラフルは二子玉川のあたりが中心になっています。

 ニコタマに住んでいるわけではないけれど、自分の生活圏の近くでつくった。馴染みのある景色の中でフィクションの物語をイメージしていくって面白いことだなって河童の時に感じたんですね。それをカラフルでもやってみようと。原作ではどこか描かれていないが例えば二子玉川に住んでいてと発想していった。
 そんな時、昔多摩電という都電があったというのを知って、それをストーリーに絡めてみようと思って。そういう発見があるってのは面白いんですね。片渕さんがいったみたいに。なんか拡がる感じがするんですね。馴染むかどうかは冒険なんですけど。自分の中でただリアルにするだけじゃなく、原作になかった要素だったり自分が想像もしていなかったストーリーが入れられるなと気づいた瞬間ってのはちょっと可能性が拡がるような気分になるんですね。

氷川 湯浅さんの場合は京都をずいぶん歩かれた?

湯浅 そんなに作品をリアリズムにしようとは思っていなかった。そういうのは自分としては難しいなと思ったんで。普通にロケハンというか行くといいところだったんで、この感じをだし無いなあと。おはなしよりも、そこをだしてなにかつくりましょうよという感じ。楽しいなとか面白いとおもったものがそのまま作品に入っていくといいなって思ってやってました。

氷川 みなさんの話を聞いていると、行った場所で何かを探してくる感じですね。

片渕 小説の原作を読み込む過程なのかもしれない。それを自分のものにするために自分の体験としてそこを歩くことが必要だったのかもしれない。文字で書いてあるのは他の人が書いてある事じゃないですか。実感を得たかったというのがあるかもしれません。

湯浅 作る人がわからないとつくれないんですよね。

氷川 四畳半には直接写真がとりこまれたりしています。

湯浅 描くよりは写真のほうがいいんじゃないかと思って。描くの面倒くさいし。ちょっと不思議な超現実的的な感じというか。絵はシンプルだけどその中に実写が入ると、リアリズムみたいなのがあるかなと。

氷川 OPは?

湯浅 OPは京都大学の吉田寮を取材して、森見さんもそこをイメージされてるんじゃないかと思うんですが、ビックリするくらい汚い所で、そこでインテリの人たちが汚なくなく生活している。描いてもこの汚さはでないぞ、と。写真でも出ないですけど、描いたものより写真でも伝わるかなというところで使っています。

氷川 アニメに現実のディティールを取り込むのは、ここ10何年のアニメの進化の一つだと思います。

 作り手それぞれ違うと思う。全部、架空の世界で作ったほうがやりやすいという人もいるし。僕なんかの場合は現実感のある場所で、現実的な芝居をさせることに興味を覚えてきたので。それがやるたびに度を越していると感じで。
 僕もカラフルでやったことを次でやろうとも思っているわけではないです。現実に縛られるということもあるので。僕の場合は、その場所を知っている人がみても不自然がないような位置関係とか距離関係と大事にして、そうするとすごく制約があるんですよ。現実的に移動が不可能なものを、映画の中でもシーンで繋ぎたくない。あの場所も出したかったけど歩いていけないから、歩いていける範囲でなんか良いところを探そうってなるんで面倒っちゃ面倒。

湯浅 伊藤くん(?)は原さん適当だって言ってましたけどね。実はスタッフがかぶっている。背景の質感が違うけど、四畳半とマイマイ新子の美術の人は実は同じです。

片渕 彼はダブル受賞なんですね。

湯浅 小説をアニメ化するのもいろいろな方向がある。自分はリアルなやり方が難しいと思った。原さんならできるかもしれないけど、僕にはなんでもない風景で見せる技量はないなと思ってそうしたんですけど。四畳半の作監も原さんの作品に参加していて、どうします?原さんのコンテ面白いですよ、といわれたりして。けど、自分にはこれしかできないんで。

片渕 さっき湯浅さんが面倒くさい的なことをおっしゃったんですけど、実際にある所を舞台にすると美術設計はすごく楽ですね。練りに練って美術デザインを構築していくのとその場にあるからそれでいいじゃんっていうのは演出側としてはとても支持が楽なんです。平安時代の事調べてそのままやっといてってて言えるので。
 楽な割に結果として厚みがでたなとビックリした。最初からロケハンをして忠実に再現してという意識はなかった。結果として、山口県を歩いていると主人公が歩いている道がそのまま存在しているので、あいつらここに存在しているじゃないのかなとこっちが錯覚するくらいで、すごく厚みが出たんです。

 僕は河童の時にそれを経験したんですね。物語は架空のものですが、実際にある場所が描かれているとそこに訪れると不思議な感覚が得られる楽しさってあるとおもうんです。他の人がつくった作品の場所に偶然行ったとき、すごく嬉しかったりする。そのためにつくるというわけではないけど。

湯浅 補足だけすると、簡単にとか、面倒くさいとかいっちゃうけど、シンプルにするのも結構難しいんです。意志の疎通が難しい。

片渕 あんなにデザインを極めていくと意思疎通は難しいですよ。

湯浅 美術をやった上原さんの苦労を考えるとね。

■アニメーション技術論

 湯浅さんはね、昔から面倒くさいからとか簡単にしましょうとか人一倍言うんですよ。クレヨンしんちゃんの頃から。けどホントは全然違う。鬼のように描くんで。

湯浅 簡単にするって事は別のどっかをやりたいんで。

 楽にしたいって聞くとだったら早くあがるなって安心しちゃうんですけど、簡単にした所でめちゃめちゃ大変なことをやろうとするという。

湯浅 若い頃は大変にしたいってのがありましたね。

片渕 最近、日常芝居を含めて動かすことが増えてきて、アニメーションから影がなくなってきてますよね。一枚絵で重厚な影をつけていた時代は動かなかった時代だった。何かを足して、何かを引いていかなきゃいけないのは間違いがない。

 日本のアニメって3コマ撮りが主流じゃないですか。フルアニメーションってのは1コマ。だけど、日本のアニメは3コマがいいってなってるよね、ある時期から。上手いアニメーターほど、フルアニメより3コマがいい。影もつけすぎない方が良い。これって日本独特の発展の仕方で面白いと思っていて。昔は劇場だと2コマを使おうよってあったけど、今は全然そんなこと言わない。

湯浅 それが一般にどう思われてるのかなってのは心配ですけど。

片渕 僕はマイマイ新子で2コマ相当使ってるんですよ。3コマでいきたいって人も2コマにしろってタイムシートに点々うって、で枚数オーバーして怒られてんですけどね。3コマってすごく切れが良いって伝統って、それって動画の入り方と関係があってそれを極めて行くと動画の人が中割まで絵をいれていかなきゃいけなくなる。

湯浅 原画マンの倫理としては、原画で細かい動きが全部コントロールされてるのがいい。

片渕 作業効率って問題と、動画ってどういう人がやるのかって事とかね合わせて考えなきゃいけなくて、で、2コマにするとぬめぬめうごくから、僕は危険防止のために使ってる所があるんですね。2コマだと動画がいい加減でも動いて見える。

湯浅 3コマだとぎこちないと本当にぎこちなく見えますね。

片渕 枚数をどれくらいオーバーしたか教えてもらえなかったんですが、相当怒られましたね。

 湯浅さんなんて、しんちゃんのころから、片渕さんが言ってたみたいに、3コマの動きを極めたいと思って、動画さんの作業まで自分で全部やってたよね。びっくりしたよ。原画枚数が多くて。普通は書かない何枚の動画で割ってくれって所まで書いて。動きをコントロールしたいから、次の絵も次の絵も全部自分が描いて誰がやっても間違いないところだけ動画さんにおまかせして。タイムシートって原画は番号を書いて動画は点々で書くんですけど。番号ばっかりのタイムシートがあがってきてびっくりしたことがあった。

湯浅 僕、そんな枚数書く方じゃないんですけど。最近の若い人とかタイムシートすごいですよ。原画描いてるころに思ってたのは余計な動画入れると失敗するのが怖いんで。

片渕 原画の1と2の間に1.5ってあるんですけど。1.75の次が1.76ってあって。原画が、1と2の間が際限なくある。

湯浅 むかしの東映動画みたいな方法だと、間を信頼してあんまり描いてなかったりとか。

片渕 僕が昔教わった大塚康生さんは、プロフェッショナルな動画がいないとアニメーションは成立しないといってた。けど、日本は原画が動画の仕事までやっているという事は相当あるような気がするんですね。

■質疑応答

 一番だいじにしてることはなんですか?

湯浅 自分が面白いなあという所までつくること、ですかね。テレビでもアニメーションらしいもの。実写とか、CGじゃできないでしょってものをやりたい。

 小説を原作にした苦労はありましたか?

片渕 マンガが原作のほうが切りにくいんですね。小説のほうが自由度が高いと思います。

 カラフルなんか、小説のどおりやったら2時間ではできない。最初にした作業はどの部分をアニメではいれないかという事を考える作業。かといって形を変えたくないと思っていたし、アニメオリジナル要素もいれたいし。。となるとさらに厄介になるし。絵コンテ書いてると膨らんだりするじゃないですか。

湯浅 しんちゃんとかみてると原さん頭からきってて、最後足りなくなっちゃって短くなってて。僕も未だにできないですね。30分のコンテが1時間になったり、7分が15分になったり。

 それが無駄じゃなくて密度を高める作業だと思いたいんですけどね。

片渕 マイマイ新子、90分きれといわれて。厳命で。本編を89分59秒にして、4分のエンディングをつけた。そのために嫌々切らなきゃいけない要素があって、それは当時は絶待に必要だと思っていた。けど、今それをつけるとお客さんが全然違う作品になってしまうと感じるかもしれない。

湯浅 分厚い小説が全部は入るわけない。印象は同じにしたいなと思っています。

 どんなものをやりたいですか?

湯浅 昔から日常的なものをやりたくて。そろそろ力がついたんじゃないかと思っています。

 僕はあんまりこれをやりたいってのは昔から無かった。カラフルみたいに、まったく知らなくても興味をもってやれればいい。なんでもいいってわけじゃなく、自分が興味を失わずにずっとつくれるか。

片渕 マイマイ新子がやった結果として面白かった。ああいう作風って、自分は得意だと思っていたけど作らせてもらえる機会がなくなった。本当にやっていいの?という感じがあって。お客が入らなくてもこれは面白いって、クチコミをしてくださるかたがいっぱいいて。
 自分が面白いとおもったものってのは、もう一度チャレンジする必要があるなと思っていて、そういう方向に行きたいです。

氷川 最後に、一言をお願いします。

片渕 こういう所にいられるのは自分の手柄ではまったくないと思っています。本当に感謝してます。今日、来てらっしゃる方の中にもずっと応援してくださってる方もいるし、ustを見ている方にもいらっしゃると思うので、本当にありがとうございましたとお礼の言葉を述べさせてもらいます。

 今回、3本とも自分がずっとつくりたかった企画じゃなかったってのがわかってもらえたと思うんです。いや、嫌ってことじゃなくてね。この中に作り手を目指している人がいたら、こういう仕事に入ると好きなものばかりつくれるわけじゃないんだけど、少しの興味を手がかりにつくっていくと皆が喜んでくれたりもするという結果にもなります。そういう参考になってるんじゃないかなと思います。そういうのを目指している人はなるべく悲観しないように。

片渕 ものすごく賛成です。

湯浅 もう、だいたいのことはお二方がいったので(笑)。スポットを当てていただけるのはありがたい。たくさんの人で作っているので、他のスタッフに興味をもってもらえるのも有り難い。今日はありがとうございました。

  

※23:30 誤字の類をちょっと修正しました
 1.24.1 レイアウト・タイトル修正しました。

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カテゴリ:レポート
タグ: アニメ表現
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