戯言と作品レビューや分析のブログとその時の思いつき。

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アニメはまとめ見る方なのですが『輪るピングドラム』は毎週欠かさずみています(執筆時点では五話の放送が終わっています)。

幾原監督の映像を使って視聴者とコミュニケーションを試みられているような演出が楽しく、不可思議なメタファーを見つけては深読みをしたり、様々な引用を探ったりしています。

で、あれはどうだこうだと議論しながら見れるのは、リアルタイムで見ているものの特権なのですね。
正解は半年寝てればわかるわけですが、色々考えながらみています。

で、何回かにわけて謎解きというところまではいきませんが、色々とピングドラムという作品の整理整頓をしてみたいと思います。
より先の話までを描いた小説版もあるのですがそれらは参照しません。
アニメ版のみをたよりにピングドラムを読みといてみたいと思います。

まずは「運命」についてです。これは中心的なテーマなので何度も言及することにはなると思いますが。
■「運命が嫌い」な冠葉と晶馬
 ピングドラムは晶馬のモノローグからはじまる。

 僕は運命って言葉が嫌いだ。生まれ、出会い、別れ、成功と失敗、人生の幸・不幸、それらがあらかじめ運命によって決められているのなら、僕達はなんのために生まれてくるのだろう。裕福な過程に生まれる人、美しい母親から生まれる人、飢餓や戦争の真っ只中に生まれる人、それらが全て運命だとすれば神様ってやつはとんでもない理不尽で残酷だ。あの時から僕達には未来なんて無く、ただきっと何者にもなれないということだけがはっきりしてたのだから。


 5話では回想シーンで貧しくも幸せそうに過ごす家族の姿が描かれている。が、かつてあった幸せな生活は失われようとしている。父も母もいなくなった。最愛の妹である陽毬はいつ死ぬかわからない。一軒家も親戚から立ち退きを迫られている。まさに「理不尽で残酷な運命」。

 第一話のラストで、冠葉は「人が運命を無視して遺伝子の命令を無視して誰かを愛したとしたら神様、そいつは本当に人なのか。」と語る。そして、陽毬にキスをする所で1話は幕を閉じる。

 「運命が嫌いだ。」としながら傍観者的な晶馬と、運命に抗おうとする冠葉という対照的な関係はたびたび描かれている。
 苹果の部屋をピッキングをして苹果の部屋に堂々と侵入をする冠葉とおびえながら見ている晶馬(3話)、家を立退きさせないようどこからか札束を手にしたり、ペンギン帽をトラックから取り戻してきた冠葉と苹果と一緒になって泣いていた晶馬(5話)。

 冠葉の行動は「理不尽で残酷な運命」を自らの行為や行動でくつがえそうとしている。しかし、同時にこれらの行為が「理不尽で残酷な運命」を生んでいる可能性もある。運命とは自分達の行為=業の帰結でもある。テレビのスポットCMではこれを「罰」という言葉で強調している。
 「僕の愛もあの子の罰も全てわけあう(Spot3)」「これは罰なんだ。君たちは絶対に幸せにはなれないよ。(Spot6)」
 もし冠葉のとっている戦略が行き詰まることになれば、その時には晶馬が重要な役割をはたすのかもしれない。

■「運命を信じている」苹果と運命日記
 スタンスは違えども「運命が嫌いだ。」という思いを共有している高倉兄弟。全く逆に「運命を信じている」のが苹果だ。

 わたしは、運命って言葉が好き。だって運命の出会いっていうでしょ。たった一つの出会いがその後の人生をすっかり変えてしまう。そんな特別な出会いは偶然じゃない。それはきっと運命。
 もちろん、人生には幸せな出会いばかりじゃない。嫌なこと、悲しいことだってたくさんある。自分ではどうしようもない、そういう不幸を運命だって受け入れる事はとても辛いこと。でも、わたしはこう思う。悲しいこと、辛いことにもきっと意味があるんだって。無駄なことなんて一つもない。だって、私は運命を信じているから。
(2話冒頭、苹果のモノローグ)


 苹果は苹果で満ち足りている生活を送っているわけではない。自分が大好きだった家族は、父母が離婚するか別居してバラバラになってしまっている。昔の温かい家庭を象徴する「カレーの日」や「同じストラップ」は、もろくも崩れ去っている。父と面会しても新しい女から電話がかかってきて中断されてしまう。恋をしても、相手には芸能人のライバルがいて勝ち目が無い。
 ただ、それでも「運命を信じている」。

 苹果の運命感を奇妙にねじれさせているのはピンク色の日記帳、苹果曰く所の「運命日記」、プリンセス・オブ・クリスタル(ペンギン帽)曰く所の「ピングドラム」だ。

 この、第二話で苹果のストーキングが明らかになるが、彼女の行動は既に書かれた「運命日記」をなぞらえようとしているだけに過ぎない。
 苹果も運命を受動的に信じているわけではなく「運命」が書かれた脚本を演じる事で「運命」を手にしようとしている。
 おそらく苹果の記憶の中にあった家族の温もりを再構築しようとする試みで、それは彼女のアイデンティティの核だからこそ、一切の否定は許されない。

■電車のメタファー
 この作品では「電車」がモチーフとして多様されている。

 ・回想シーンには必ず電車の到着を示すかのような電光掲示板が示される
 ・話数表記が X STATION (ex 6th Station)
 ・AパートとBパートの間の路線図
 ・毎回かならず電車に乗るシーンが登場する。
  具体的な風景として描写される事もあれば寓意として描かれることもある。例えば、第五話での札束の受け渡しのシーンには電車の内部が描かれるが、冠葉と怪しい男以外は描かれない。これは現実的な空間ではなく、寓意としての電車だろう。
・改札口(プリンセス・オブ・クリスタル空間への移行時など)

 電車とは定められたレールの上を走る乗り物だ。これがそのまま「運命」のメタファーになっているのだろう。ベタな喩えだが、これを堂々と提示しているのではないかと考えている(もちろん、全然違うかもしれない)。

 回想はかつて通った駅、タイトルは今通っている駅、そして寓意としての電車の中はまさに今走っている最中というわけだ。タイトルは今のところ常に最後に表示される。それは最早あと戻りする事はできない様々な可能性が確定してしまった通過点を示している。

 となれば運命日記とはこの「路線図」が別の形で示されており、苹果は電車を前に進めようとする車掌なのだと見立てられる。
 AパートとBパートの間には具体的な路線図が映しだされている。





 これは一話進むごとに一マスづつ左から右に進んでいく。6話にあたる場所は灰色の戦で支線から本線に合流している(画面の端で見えないが11~13話あたりでも灰色の線が合流している)。この路線図が宿命論的な運命を図式化したものだとすれば、複数の運命が一つの大きなうねりになるのやもしれず、運命が分岐するような事態が起こるのやもしれず。
#この見立てが当たっているかどうかは6話を楽しみに待つことに致しましょう。

 電車の喩えといえば1話では『銀河鉄道の夜』を批評する小学生の会話がある。『銀河鉄道の夜』では「苹果」が重要な位置を占めていて、これがピングドラムの「苹果」とどのように重ねあわされているのか。また、運命日記とは何なのか。

これらについては、エントリを改めます。

その1 運命と電車
その2 運命日記の謎と苹果の想い





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■関連エントリ
カテゴリ:評論
タグ: ピングドラム
次のエントリ;運命日記の謎と苹果の想い ピングドラムを読み解く その2
前のエントリ;デキビジ視聴メモ(勝間和代×田原総一朗×佐々木俊尚×東浩紀)



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