戯言と作品レビューや分析のブログとその時の思いつき。

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今回は、苹果ちゃんがそれでも信じている「運命」について書きたいと思います。
小説版は参照せず、読み解いていきます。

目次
■運命日記の著者という謎
■カレーの日にこめられた呪い
■未来日記と運命日記
■運命日記はなぜ「ピングドラム」なのか?
■運命日記と苹果の行動のズレ
□主体的な「運命」と縁による「運命」
□ズレを生む登場人物たち
■運命日記の著者という謎
 第二話での運命日記は、コマ送りをすると読めるようになっている。








「学校で交つう安全のポスターを書くことになった。」

「やっぱりわり算はむずかしい。わりきれたり、あまったりする。分数が出るともっとむずかしい。もっとべんきょうしなくちゃ!!」

「鉄ぼうのしけんがある。さか上がりができなくて何回もしっぱいしてる。多蕗くんがたくさんおしえてくれたから次はぜったいに合格する。今日も練習する!!」

(画面端で切れている所を補ってあります。以下も同じく。)

 これを読んでいて苹果ちゃんは高校生なのにわり算ができないとかなんて頭の弱いヒロインキャラなのか~とニヤニヤしていたのだが、鉄棒のくだりでなんともいえない違和感が襲う。鉄棒の試験をする高校生ってどんな高校だよ…と。

 「学校からかえる時、カサがなくてこまっていたら多蕗くんがカサにいれてくれた」というような記述を見るにつけて、高校生の苹果ちゃんとお兄さんの多蕗さんという関係性じゃない。一番しっくりとくるのは、小学生時代の多蕗の同級生の日記だろう。恋に恋するような時代の淡い思い出。

 苹果は、そんな日記をどこからか持ちだしてきて自分の運命にしている。未来を緻密に妄想してそれをただ実行するというだけでもかなりとんでいるわけだが、その日記がどこかから拾ってきたものかもしれず、針の振れっぷりがとてつもない。

 苹果ちゃんは自分の内側に何も持っていない空虚な存在なのかもしれない。自分の妄想に偏執するならまだいい。他者の欲望を自らの欲望として偽装して生きている。空っぽでそこには誰かのノスタルジーが入っていてギリギリ維持できる。
 ストーカーが自らの欲望を他者に押し付ける行為なのだと理解すれば、実は彼女のとっている行動は真逆になる。

 そんな苹果ちゃんにはなんとなく共感できて、私としては一周回って苹果ちゃんマジ天使という展開を期待している。

■カレーの日にこめられた呪い
 と、ここまで書いた所で6話が放送され、この運命日記を書いた人物が明らかになった。

「記された運命を実行する事が私の生まれてきた理由」だと苹果はいった(第3話)。

 苹果が5歳の誕生日を迎える前日、両親が喧嘩をしている(6話)。苹果パパの「いつまでも誕生日がカレーの日だとかわいそうだろう!」という叫び。ママ「でも、明日はモモカの…」パパ「ああ命日だよ!だが明日は苹果の誕生日でもあるんだ。」

 「カレーの日」はあの家族の中でモモカに強く結び付けられているのかもしれない。月命日の20日はカレーの日。死後はそれがモモカを追悼する儀式のようになっていたのだろう。3話の冒頭では幼い苹果と母との会話がある。「カレー大好き!」を無邪気に笑う苹果とそれを聞いて泣き崩れる母親の姿。

 モモカの命日は苹果の誕生日でもある。このような偶然が果たして起こったのだろうか?必然だったのかもしれない。つまりは、桃華の死が苹果によって引き起こされたという必然。

 第3話の回想にあったカレーの日、苹果が11歳の時であるという。ここで「桂樹くんももう高校生かー」というママのセリフがある。高校生の年齢は16ー18歳。つまり、苹果が生まれた時には5ー7歳。多蕗と桃香は同級生である。
 もちろん、誕生日と命日の月日が同じであっても年までが同じであるとは限らない。だが、全てが「運命」なのだとすれば、苹果はモモカの死という呪われた宿命を背負っている事になる。

 毎年毎年やってくる自らの誕生を祝う日が、死者への弔いに捧げられている。苹果にとってみれば自己否定のための儀式でしかない。パパの「いつまでも誕生日がカレーの日だとかわいそうだろう!」という叫びはそんな娘を思っての事だろう。
 6話では苹果が10歳~11歳の時の回想も描かれている。多蕗とママと苹果でカレーを食べている(3話のカレーの日の回想と同じ日と思われるが、3話では2006年、6話では2005年と年がずれている。ミスなのか仕掛けがあるのか。)日付は3月20日だ。自らの誕生日にお姉ちゃんの親密な人が招かれるという奇妙さ。そして苹果は多蕗に恋をする。

 だが、ママの10年以上前の「カレーの日」へのこだわりは、生活の中でいつのまにかないがしろになっている。「今日は大事な会議があるから夜先に食べておいてちょうだいね(3話)」。苹果のママにとってみれば20年も前の事だ。

 パパも既に新しい関係の中で生きている。この因果を引きずっているのは世界で苹果だけで、苹果がいくら「良い子」になってもその宛先は失われている。
 パパと面会した後の苹果のモノローグ。「ねぇパパ。この前のカレーの日あたしが一人で作ったカレーを多蕗さんに食べてもらったんだよ…。」

 苹果の運命日記の著者はこのモモカだ。

■未来日記と運命日記
 6話では、多蕗と同棲をするという内容の日記が描かれる。多蕗もモモカを幼い頃の全てだと語っているし、親密な関係があったのは確かだが、これは小学生の日記なのだろうか。

 小学生だったモモカが未来を妄想して書かれたフィクションであった可能性をここでは指摘しておきたい。
 モモカの「未来日記」を苹果が「運命日記」として現実として生き直そうとしている。苹果はモモカの過去をやり直すのではなくて、失われたモモカの未来を生きようとしている。(のかもしれない。)

 苹果の内側が空っぽなのだとしたら、苹果にとって「ほんとうの幸い(銀河鉄道の夜)」とはなんなのだろうか?

■運命日記はなぜ「ピングドラム」なのか?
 今まで見てきたように、運命日記は苹果という一人の少女の内側を支える存在だ。

 けど、同時に世界の中心にこの運命日記がある。運命日記を巡って、暗躍している人たちが『廻るピングドラム』にはたくさんいる。

 個人の問題(家族の問題)と世界の問題がピングドラム/運命日記を中心にして連結している。この謎はおいおい劇中で明らかになってくるのだろう。このエントリでは、とっかかりとして運命日記と苹果の行動のズレについてまとめておきたい。

■運命日記と苹果の行動のズレ
 第2話~ 第6話にかけて、運命日記を忠実に実行しようとしている苹果が描かれる。だが、よくみてみれば運命日記通りに行動を実行できたのはほとんど最初の方だけだ。

 <ツバメの巣を多蕗に見せる(2話)>は携帯電話を使って見せるという事で難なくこなすが、3話・カレー回になると既に怪しくなっている。

□主体的な「運命」と縁による「運命」
 <「わたし」の手作りのカレーを一緒に食べる>→ゆりが既にカレーを作っていたが鍋をすり替える
<めつきのわるいねこに会ってとても怖かった>→ペンギン3号が「めつきのわるいねこ」の魚を取ったり取られたりしているうちに苹果とぶつかってカレーまみれになる

 「ツバメの巣」「カレー」と「めつきの悪い猫」を比較すると、前者は苹果の主体的な行動に起因して引き起こされたものであるのに「めつきの悪い猫」はそうではない。ペンギン3号が「めつきの悪い猫」とじゃれあっているうちに、苹果にとっては意識する事も無くもたらされた。

 ペンギン3号が運命の至る所から来たペンギン帽ことプリンセス・オブ・クリスタルの眷属である事や(ペンギンとプリクリの関係性は直接は描かれていないけど踏みつけているわけだし)、宿命論的な運命感において個人の行為が為せることの限界を示唆しているようでもある。

□ズレを生む登場人物たち
 4話・デート回では運命日記と苹果の行動とのズレがさらに際立っている。

<10時に待ち合わせ>→成立
<12時半におべんとう>→自分のお弁当ではないが食べる。
<3時に吐息がかかってドキドキ>→毛虫作戦でゆりと多蕗がドキドキ
<4時、池のほとりで初めてのキス>→キスをしたのは晶馬
<午後9時、赤坂見附、エレベータ(*)、赤いくつの女の子>→駅から突き落とされる。5話で突き落とされたアサミが犯人を「彼」といっている事から、苹果ではない可能性が高い。
(*)日記表記はエレベータ、苹果音声はエスカレータ。誤植か?

 という事で、ほとんど実行できていない。肝心のキスの相手だって、ドジでノロマな双子の弟だ。

 苹果の「運命」のズレを生んでいるものはなにかを考察してみたい。

 晶馬をこのダブルデートという舞台に上げる縁を生んだ1つはペンギン帽ことプリンセス・オブ・クリスタルだろう。

 ペンギン帽については説明が必要が無いほどの存在感だけど、忘れてはならないのは逃亡しているスカンクのキヨシ君だ。キヨシ君がいなければ、苹果は屁を浴びることも無く服を取り替える事も無かった。そして、屁の臭さを晶馬になすりつける為にデートに同行させる事もなかっただろう。(スカンクに白黒のペンギンマークが描かれている事は何を意味するのか?)。
 晶馬がいなければ、弁当をペンギンに食べられる事もなくキスを奪われる事も無かっただろう。確実ではないが、苹果の「運命」に対する確率は上がったはずだ。

 「運命日記」に関する登場人物といえば(関係しない人物は多分登場しないのだけど)、ピンポン玉の女・夏芽がいる。4話でも、冠葉を喫茶店に呼びつけたり「赤いくつの女の子」にも意味ありげな電話をかけているシーンが描かれている。
 6話でも苹果とは違った形で「運命」に積極的に関与しようとしているし、「敵の幹部」的な演出が為されている(なんとなくひぐらしの鷹野を連想した)。

 苹果の直接のライバルともいえる、多蕗の同級生でスタアのゆりについてである。彼女はことさらに「運命日記」を匂わすような言動をしていないように見える。
 6話の段階で判断するのは早計なのだが、彼女は普通の多蕗の恋人なのかもしれない。苹果の愛するパパやママが時間によって変わってしまったように、多蕗だって変わらざるをえない。そんな多蕗が見つけた運命の人がゆりなのかもしれない。そんな彼女は苹果の視点からすると「敵」に見える。



このエントリではピングドラムのその中心ともいえる「運命日記」を軸に見てきました。苹果ちゃんという一人の少女の内面と、それで作品世界が動いている。
この読み解くシリーズは、もう少し続く予定です。

その1 運命と電車
その2 運命日記の謎と苹果の想い

※8.20キャプチャ追加/後半加筆修正

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カテゴリ:評論
タグ: ピングドラム
次のエントリ;「呪い」を「祝福」として生きること ピングドラム考察
前のエントリ;ピングドラムを読み解く その1 運命と電車



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