日経サイエンス11月号を読んでいたら、「チェス名人に隠された才能の秘密」という記事を発見。心理学的には、動機付けされて訓練すれば誰でも天才になれるという話。以下、記事紹介と諸々。
■チェス=ショウジョウバエ
チェスは実験に適している。というのも、チェスのレーティングが200ポイント上回れば、75%の確率で勝つといった具合にチェスの上手さが定式化されているので、扱いやすい。
■チェスが上手いとはどういうことか
下手な人ほど思考力に頼る。上手な人ほど記憶を頼る。これは、脳の活性化の様子でもわかる。
また、サイモンが行った実験で、チェスの盤面を瞬間的に見せて思い出せるのかという実験がある。
チェスの駒をランダムに置いた場合、下手と上手の間にあまり差は無い。少し上級者の方が気持ち記憶がよいかなという程度。しかい、実際の試合で使われた盤面を使うと上級者になればなるほどその盤面を思い出す事ができる。単に記憶力がよいのではなく、パターン化された記憶に強いという事だ。
つまり、チェスの上手い人にはこういう局面ではこういった可能性になるといったパターンが記憶されている。こういった意味のある塊をチャンクという。マジックナンバー7という仮説がある。大体、7個くらいの事しか人間は考えられない。初心者は駒の配置だけに7個を使ってしまうから場当たり的な対応しかできない。上級者は局面や可能性に7個を使うから強い。脳の中で何が起こっているのかについては、所説がある。
ここで、面白いのはチェスが強いからといって、頭が良いか悪いかとは関係が無いという事だ。チェスの「才能」は他の分野には越境できない。チェスが強いとはその分野のパターン認識に優れているという事であるから、それ以外の分野ではまったく意味をなさない。実際、試合上の盤面をほとんど再現できるグランドマスターでも単なる記憶力には一般人とほとんど差は無いという。
チェスに限らない。音楽家はメロディやコード進行というチャンクを、実務家は日々の仕事のルーチンや手続きというチャンクを頭の中に蓄えている。
■訓練をすれば誰でも上手くなる
天才を裏付けるようなデータは一つも無いとこの著者は豪語していた。チェスのグランドマスターからモーツァルトまで全ては強い動機付けに基づく訓練で説明がつくという。
ちなみにチェスのグランドマスターは5万から10万のチャンクにアクセス可能だという。また、一人前になるために必要な訓練時間は10年であると言われている。
ここで、注意しなければならないのは、経験と訓練とは違うという事だ。自分よりちょっと上を目指しつづけなければ上手くはならない。車の運転を何十年もしていてもレーサーになれないのはそういうわけによる。教習所の中はつらい訓練だが、それから先の運転は単なる経験で成長には繋がらない。
とはいえ、10年を適切に過ごせば、誰でも一人前になれるわけである。しかし、10年を一つのことに費やすという事自体は困難な事である。野球選手にしたってプロに入って遊びを覚えて駄目になったとか、そういう話はよく聞く。
故に大事なのはモチベーションである。「サッカー選手は4月生まれに多い」という統計がある(日経の記事を正確に表すと第1四半期生まれ)。
何故か。同じ学年の中で一番早く生まれていて、体格が良いからだ。従って、サッカーで活躍できる機会が自然と増え、それがより強いモチベーションになるからだろうと考えられる。
■閑話休題
以上は、たとえをちょっと変えたり、議論をはしょったりしているが、大体の記事の要約でありました。
と、そんな事を書いていたら、GIGAZINEで、ヘリコプターで一度風景を見ただけで緻密にそれを再現できるという能力を持つ人の映像が紹介されていた(リンク→
■ )。
サヴァン症候群?と記事では推測している。ちなみにサヴァン症候群とはwikipediaによると以下。
知的障害と共に異常といえるほどの驚異的な記憶力・表現力を持つことが挙げられる。彼らには「忘れる能力」が無いとされ、かなり昔から知られてはいたがその原因は未だ論議されており、正確には掴めていない。現在では脳の器質因にその原因を求める論が有力だが、自閉症者が持つ特異な認知をその原因に求める説もまた有力である。(
wikipedia 061003版)
天才的な脳を持っているのか、日経の記事的な学習の特異例なのかは議論中との事(文献を探せば何かわかるんだろうけど、体力がないからやめます)。
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