2年以上前のITMediaの記事。メディアワークスの人が、萌えは縮小再生産に向かっていて、このままでは誰もわからなくなってしまう。提起された「萌え少子高齢化問題」が面白い。「卒業」する人もいるから残る人が濃すぎて商売的な採算が合わない(高齢化)。また、濃すぎて新規参入が望めない(少子化)。
同記事で、最近のユーザーの傾向について取上げている。
萌えゲームが迎えた「曲がり角」(ITmedia) 2004/09/07
高野氏は、あるアニメ制作中に監督が漏らした言葉を引用する。「最近の視聴者は、30分のアニメ全体でなくシーン単位で見る」。あのシーンの、どのカットが良かった……などと批評されるという。ユーザーはストーリー性より、キャラの立ち居振る舞い、特徴にばかりこだわるようになった。
ARTIFACTさんが数ヶ月前に言っていた受け手問題と似ている。
アニメーターのわずかな個性も許さないアニメファンに絶望した!(ARTIFACT) 2006/07/27
最近のアニメファンは統一感ばかり重視していて、個性を許さないよなあと思っていた。うつのみや理作画騒動とか。二次元のキャラクターに感情移入するためには、アニメーターの個性は邪魔なもの。更科さんがよく言う「ノイズ」扱いされてしまう。
(……)
ええー、アニメーターの画力が低くて作画が崩れているとかでないし、オリジナルのキャラデザインとちょっと違うだけなのに、DVDでこんなに大量の修正を!? 修正した後の差ってぱっと見じゃわからないよ!
(……)
スケジュールに関しては『魔法少女リリカルなのはA's』の作画は全般に安定していたと聞くし、「放映時にスタッフが見て気に入らなかった」レベルではこんな大規模な修正は行うとは考えにくい。そして、この斉藤氏の担当回だけ狙い打ちして修正されているので、放映後のファンの反応を見て、修正したと判断した。
ITMediaの記事が萌え少子高齢化によるマーケットの縮小を危惧しているのに対して、ARTIFACTさんは、アニメーターのクリエイティブや現場が萎えてしまう事を危惧している。勿論、ユーザーの趣向に合わせて製品のクオリティを上げることは悪い事ではない。
ところで、「最近の視聴者」という言葉についてなのだが、視聴者が根本的に変わったというよりウェブによって「視聴者」が可視化された影響が大きい気がする。昔の視聴者も今の視聴者も趣向は変わらない。ユーザーの生の意見が見えてしまい反応できてしまうから、それに寄り添うことが可能になる。また、そういった絞り込まれた作品に反応する事ができる。
そういった繰り返しでユーザーが過剰に濃くなって、萌え少子高齢化を生み出してしまう。最早そういった特殊萌え訓練を受けていないものにとっては、なにがなんだかわからない世界に突入してしまう。友人に聞いてみた所、ローゼンメイデン、語尾が「ですぅ」だけでちょっと萎えるそうな。
通称ネギぽにと呼ばれるネギま!?であるがオープニングが格好良すぎて痺れる一方、黒板に書かれた文字には強迫的な感覚がして少し乗れない。MUSASHI GUN道当然押さえていますよ。VIPのスレも当然読んでますよ。そういったくすぐりを本筋よりも目立つところに置く感覚。なんか大変だなあと。
もう一つ。「物語ではなくキャラクターを受容する。」のは、視聴者の怠慢だけに起因するのではなくクリエイター側との共犯関係にあるという事だ。例えば、こち亀が150巻以上も出ている。これは、いうまでもなくこち亀サーガの受容ではなく、キャラクターの大量生産/大量消費によって成り立っている。
「最近の視聴者」を生み出したのは、「一時代前のクリエイター」と「一時代前のメディア環境」だと思う。ありていにいえば、キャラクターだけしかないマンガ、ストーリーが破綻したマンガ、風呂敷を広げるだけの作品を大量生産したから、読者はそれを「学習」した。キャラクター原理主義が生まれた土壌となったのは、週刊連載という日本特有の形態、終わりたくても終われない商業主義的な要請にも一部あるのではないか。破綻した物語を受容するという事も、キャラクターを受容するという事も。そういった繰り返しを続ける事が視聴者は変質したかのように見える。
仮に本当に少子高齢化問題が起こっているとして、2年経ったわけだけど状況はどう変わったんであろう。そうして、資本主義の精神はどこに向かわれようとしているのでありましょう。
まぁ、私は今クールのアニメを全部おさえるぜという気力も無く、ぬるく今さらマクロスなどを見ているのでありました。エウレカセブンも今さらだらだらと見続けて、そろそろ作画が悲惨なことになっていてちょっと悲しい。初期のエウレカは本当にかわいいのになあ(もはや、エヴァとか変てこサブカルストーリーは追わない事にした。ってこうやって何かを学習していくわけか)。
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